Proteusは、この名鑑で唯一「求人市場に出てこない」求職者である。Amazonが自社のために開発した完全自律移動ロボットで、働き先は最初からAmazonのフルフィルメントセンターに決まっている。職務は、注文商品を積んだ400kg近いカートの搬送。特徴は、柵の中ではなく、従業員が歩いている開放エリアを人を避けながら走ることである(Amazon公表)。
経歴の要約
名札を打つとこの三行になる。できることは「開放エリアでの自律走行と人の回避」「重いカートの搬送」。できないことは「Amazonの施設の外で働くこと」。
Amazonは自社の発表で、Proteusを「当社初の完全自律移動ロボットで、施設の開放された制限のないエリアで従業員の周囲を安全に走行しながら、注文の入った重いカートを運ぶ」と説明している(2026年8月14日閲覧)。この一文が、そのまま職務記述書になっている。
所属と経歴
所属はAmazon Robotics。Amazonは2012年の搬送ロボット導入以来、自社倉庫向けのロボットを内製してきた系譜を持ち、Proteusは2022年に発表されたその到達点の一つである。2025年には、世界のロボット総数が100万台に達し、100万台目は日本のフルフィルメントセンターに配備されたこと、ロボットが働く施設が世界300か所を超えたことを公表している。
この経歴の特殊さは、機体が単独で進化したのではない点にある。床、動線、カート、管理システム、そしてロボット群の交通整理をするAIモデル(DeepFleet)まで、現場側もまとめて設計されてきた。窓口でカナメが床を指すのは、この機体のファイルを読むときこそ「映っていない準備」を数える必要があるからである。
担当できる業務
担当は出荷エリアでのカート搬送である。梱包済みの注文が積まれたカートを、配送トラックへ向かう動線に沿って運ぶ。カートは400kg近くになると公表されており、人が押して歩くには重い荷物を、人の間を縫って動かすのがこの機体の持ち場になっている。
一方で、棚から商品を取り出すピッキング、梱包、仕分けはProteusの仕事ではない。それらは別のロボットシステムと人が担い、Proteusは工程と工程の間の移動だけを引き受ける。一台で何でもする万能機ではなく、大きな分業の一枚として働いている。
勤務条件
可搬重量や速度といった数表形式の仕様は、Amazonが製品カタログとして公表する性質のものではないため、この台帳では公表文から読める条件だけを記す。運ぶのは400kg近いカート、職場はフルフィルメントセンターの開放エリア、雇い主は自社のみ。外部企業への販売・提供の公表はない(2026年8月時点)。
つまり、この機体の勤務条件を読む価値は「同じものを買う」ためではなく、「完全自律が成り立つ現場の条件」を知るためにある。整えられた床、統一されたカート、管理された動線という土台の上で、はじめて開放エリアの自律走行が実務になっている。
人が監督する条件
Proteusは人の周囲を安全に走行すると公表されているが、それは監督が消えたことを意味しない。安全に関する設計と検証、施設全体の運用管理、異常時の対応はAmazonの組織が担っており、機体はその枠の中で自律している。自律の範囲を決めるのは、いつでも機体ではなく運用側である。
発表段階の情報は分けて扱う。Amazonは、同僚に話しかけるように自然言語で指示できる次世代Proteusを発表しているが、これはラボでの試験段階であり、欧州への展開は2027年前半予定という将来の発表である(2026年8月14日閲覧)。試験段階の能力は、現在の名札には打たない。
採用実績
採用実績は雇い主が一社である分、規模で読む。Amazonはロボットが働く施設が世界300か所超、ロボット総数100万台と公表しており、Proteusはその中で開放エリアを任される機種として名指しで説明されている。日本のフルフィルメントセンターも、100万台目の配備先として公表に登場する。
倉庫という現場の職種全体(棚搬送・仕分け・ピッキング支援など)は倉庫ロボットの職務経歴で扱う。「完全自律」という言葉の技術的な整理はAMRとAGVの違いへ。同じ物流現場で二本の足で働き始めた同僚はDigitの職務経歴で読める。
