Optimusは、この名鑑でいちばん知名度が高く、いちばん空欄の多いファイルである。Teslaが開発中のヒューマノイドで、2026年Q2のForm 10-Qには大規模生産への準備と投資が記されている。ただし、社外の現場での商用導入の公表は確認できず、仕様も製品ページの形では公表されていない。そのため、当サイトの段階印は開発・デモのままとする。書ける行が少ないこと自体が、この機体の現在地を示す情報である。
経歴の要約
名札は次の三行になる。できることは「二足で歩く(デモで自律歩行が示されている)」「開発元の管理下でデモ・社内利用の作業を行う」。できないことは「公表資料で裏づけられた社外の現場業務」。
他の機体の名札と比べると、この三行は薄い。だがそれは機体の否定ではなく、段階の記録である。開発段階の求職者ファイルは、確認できた行だけで綴じるのが規則になっている。
所属と経歴
開発元はTesla。公式のAI・ロボティクスページでは、危険、反復的、単調な作業を担う汎用・二足・自律型のヒューマノイドを目標に掲げ、バランス、移動、知覚、物理世界との相互作用に必要なソフトウェアを開発中だと説明している。さらに2026年Q2のForm 10-Qでは、大規模生産への準備と投資を進めていると記した。一方、同資料の表現も「開発を進める」「準備と投資を行う」であり、社外の顧客現場での採用実績を示すものではない。
将来の生産開始や台数については各種の発表があるが、いずれも目標であり、ここでは「〜と発表している」以上には扱わない。目標が守られたかどうかの検証は、この名鑑ではなく検証を専門とする領域(照合簿)の仕事である。
担当できる業務
2026年8月時点で、公表資料から業務として確認できるものは限られる。デモでは、歩行、物の持ち運び、手作業の披露が繰り返されてきた。ただしデモの披露と業務の遂行は別の欄に書く。大規模生産への準備も、顧客現場で仕事を担った実績とは分ける。業務の欄に書くには、どの現場で、どの工程を、どんな条件で担ったかの公表が要る。その公表が確認できないため、この欄は「確認できる公表なし」で止める。
なお、これはOptimusにだけ厳しい基準ではない。商用配備の公表があるDigitや、実証の公表があるAtlasにも同じ物差しを当てており、その結果の差が段階印の差になっている。
勤務条件
仕様の欄も空欄が多い。可搬重量、連続稼働時間、動作環境、価格はいずれも、メーカーの製品ページという形では公表されていない(2026年8月時点・当サイトが確認できた範囲)。発表会や発言で数字が語られることはあるが、製品仕様として固定された一次情報が見つからない間は、この台帳では「未公表」として扱う。
勤務条件が未公表ということは、導入の検討材料がまだ揃っていないということでもある。読者の側で今できるのは、数字の断片を集めることではなく、公式の仕様公表が出たかどうかを定点で確かめることである。
人が監督する条件
この機体の監督条件を考えるうえで欠かせないのが、2024年10月の「We, Robot」イベントの一件である。会場でOptimusは飲み物を注ぎ、来場者と会話したが、複数の報道が、これらの動作の一部は人間の遠隔操作(テレオペレーション)によるものだったと指摘した。歩行は自律とされる一方、接客のやり取りは遠隔の従業員が支えていたという(TechCrunch・2024年10月14日)。
遠隔操作は不正ではなく、ロボット開発で広く使われる正当な手段である。問題になるのは、それが明示されないままデモが能力として受け取られるときだけである。だから当サイトは、この論点自体を「できないこと・条件付き」欄の一次情報として記録する。現時点の監督条件は「開発元の管理下」であり、それより緩い条件で働ける公表はない。
採用実績
社外の採用実績として公表が確認できたものは、2026年8月時点でない。よってこの欄は空欄のまま綴じ、次の更新時に公表を確かめる。空欄を推測で埋めないことが、このファイルでいちばん大事な作業である。
段階の物差しを持って読み比べたい場合は、実証段階のAtlas、商用配備のDigitが良い対照になる。ヒューマノイドが目指している現場のいまの求人は倉庫ロボットの職務経歴に、テレオペと監督の考え方は人が監督する条件の決め方にまとめている。
